●第2回「深夜のバカ力はメール投稿を受け付けるべきか?」

(さて、今回は長いぞぉ。覚悟して読んで下さい。あと、この文章、“こうすれば採用される”みたいな高慢ちきな内容のモノとは違いますので、勘違いしない様にして読むように!)


やはりネットの伊集院系掲示板を見ていると見かける発言で、「深夜のバカ力に投稿用のメールアドレスが欲しい」「ネットから投稿したい」というのがあります。中には「ハガキとFAXしか出せないから投稿したことないけど、メール投稿できれば絶対採用される自信がある」なんていう大胆不適な奴も見たことがあります。この話題、大抵は「深夜のバカ力はハガキだけで相当数の投稿があるから、メールでも受け付けると収集がつかなくなる」と言う落とし所で一応の解決を見るのがパターンみたいです(うん、これはもっともな意見。その通りだと思います)。

一応最近は、「ウソチクの泉」コーナーが、試験的にWebサイトの投稿フォームからの受け付けを、ハガキと平行して行なっていますが、このコーナーに対する投稿限定と言うことで伊集院さんが見る前にバイトがコーナーネタのみを選定しているとの事。限られた形式、文字数で、1コーナーのみへの投稿と言うことで、“メール投稿したい”と言う人の意向を満たしたものではないでしょう。

では、なぜみんなメールで投稿をしたがるのでしょう?あ、“ネットならブロードバンドで定額のため無料で送れるから”というのは論外ね。採用される・されないに関係なく、“投稿して読まれるかどうかを楽しみながら番組を聴くこと”“投稿によって番組に参加した気分になること”に対してハガキにして50円ほどの価値すら見出せない、いわば“当らないかもしれない宝くじは買えねぇ”ってタイプの人は、そもそも投稿に対する考え方が違う気がするので、今回はちょっと除外。そうすると、メール投稿を希望する人が必ず言うのが“メールの方が楽だから”です。ところが、私はここでひとつ引っかかる事があるのです。本当にメールのほうが楽かぁ?と言う事です(ようやく、今回の本題に入った…)。

いや、確かに“投稿する”という行為自体は、ハガキを買って、書いて、ポストに出すのに比べてメールで送る方が全然楽ですよ。一日中家にいても出来ますからね。でも、“投稿する”のって出せればそれでいいの?自分の出した内容がTBSに届けばそれでOKなの?という事を考えてみてください。多くの場合は違うでしょう。あわよくば番組で採用されたい、あわよくば伊集院さんを笑かしたい、と言うのが最終目的である場合がほとんどだと思います。そうした場合にメールで、と言うのは非常に難しいと私は思うのです。

伊集院さんは、番組に来たハガキは全て読む事を公言していますし、仮にメール投稿を受け付け始めたとしてもこのスタンスは変わらないでしょう。まぁ、どっちにしても伊集院さんが直に投稿を読んで選んでいるという事。つまり、採用されるためには、この段階で伊集院さんに“面白い”と思わせなければいけないという事になります。一気に何百通、何千通というハガキを読んでいくわけですから、わかりにくい部分をいちいち理解できるまで考えてはもらえません。そんな相手に対して、しかも最終的に声に出して読むためのネタを文章のみで伝えるという場合には、ハガキに手書きをした方がよりわかりやすい表現ができると考えます。

一応、メールでもHTMLメールとかで表現方法を変える事は出来ますし、ソフトで作りこんだモノを添付ファイルで送ると言う事もできます。アスキーアートの達人でしたら、手書きで書くのと変わらない表現も可能でしょう。しかし、問題はその投稿を受け取る放送局側でどのような環境で受けられているかが全くわからないと言うことです。みなさんも、ネットの掲示板で某所からのアスキーアートをそのままコピペして貼ったところ、全然違ったところで改行されたり文字幅がずれたりして、まるで荒らしが来たかのような“線だけのわけわかんない書きこみ”になってしまっているのを見かけたことがあるかと思いますが、あれと一緒です。どんなOSのどんなソフトで見ているかわからない。HTML形式で見てもらえてるかもわからない。どこで改行されるかもわからない。ましてや、添付ファイルなんか届くのかすらわからない。そんな状況ですから、こちらが意図した形式では見てもらえてないと考えなければいけないのです。

その点、ハガキはよっぽどの事がなければ自分が書いたままが届きます。自分が書いたものと同じものを見てもらえるわけです。で、これは私の書いたハガキでして、ちょっといい例がなくてかなり昔(Oh!デカ時代)の投稿を再現したものなんですが、ちなみに(当時の放送なんか覚えてる人いないと踏んだ上での自画自賛として…)かなり番組内ではウケたネタでした(※1)。ぱっと見、改行が行なわれる部分がかなり区々で、ペン習字的なハガキの書き方としてはとても誉められるものではないですね。特に、1行目と3行目は文字間を詰めてまで無理矢理1行に詰めてます。

伊集院ラジオでは定番の珍文系のハガキでは、ありもしない名前やあり得ない文章が出てくるのは普通です。このネタでも「人間が犬の足についている肉球をぷにぷにして楽しむ権利を求める団体」というのと「犬が肉球をぷにぷにされる事によってうける弊害を訴える動物愛護協会」というのはどちらも架空の団体名です。でも、普通はこんな名前の団体があるとは思いません。そんな名前が途中で改行されて分断されてしまったらどうでしょう。読みながらここを団体名であると認識してもらえる可能性はかなり下がります(恐らく、この本文ではどっかで改行されているでしょうから、読んでる皆さんもわかるかと思います)。そうすると、このネタの本意が伝わりません。書いてる私としては、ここは1行につなげて見せて一気に読ませたいとこなのです。どこかで改行されてしまうかもしれないリスクを背負ってメールで出すくらいなら、手間をかけてもハガキで出したいと思うのは必然なのです。

ちなみに、手書きでしか投稿できない極端な例がこのFAXです(※2)。これは、2年くらい前に「日曜日の秘密基地」で確か5,000円もらったFAXだったと思うのですが、本来文章では表現できないイントネーションネタを無理矢理手書きで表現したものです。「日曜日の秘密基地」は現在メール投稿も可能ですが、さすがにこれはメールでは表現出来ないですよね。

では、短文系、それこそ1発ネタのコーナーなら問題ないだろうという考えもあります。事実、「ウソチクの泉」はそういう理由でWebからの受け付けをしています。しかし、この投稿フォームにも難点があって、短文でOKと言うことで250字の文字数制限があるのです。実は、短文系のネタをハガキで出す利点として、一枚にたくさんネタが書けるという事があります。これは、ハガキ代が安く済むから良いのではありません。複数ネタの相乗効果で面白いネタに思わせる事が出来るからです。

例えば、それ単独で出すにはイマイチなネタでも、1つ目、2つ目に採用はされないだろうけど、落語で言うところの“まくら”になるような捨てネタを書いといて、盛り上げといたところで3つ目にそのネタを書く事で、選ぶ段階で面白く思わせる事も出来ます。また、単独では弱いネタでもいくつかシリーズにして畳掛けることで強引に面白いと思わせる事も出来ます。下のネタは、私が「だめにんげんだもの」のコーナーに出したネタですが、、、

★トランクスのままコンビニ   みとぅを

★トランクスのままドライブスルー   みとぅを

★トランクスのまま住民運動   みとぅを

★ブリーフのままコンビニ   みとぅを

この4ネタを1枚に続けて書き、実際は1、2、4番目のネタが採用されました。はっきり言って、1コ1コのネタは弱いです。でも、続けることで無理矢理笑かす力が増します(大体、4つめなんかはこの流れで来ないと成立しないネタだし)。この辺も文字数制限されちゃうと難しい技ですね。

と、ここまでで表現方法の難しさについて書きましたけど、じゃあハガキでもメールでも全く同じに書けるネタならどうなの?という事を考えます。で、私は以前に某常連職人さんの書いた字を見せてもらったことがあるのですが、これが、ヘタするとお薬を服用されてる方なんじゃないかと言う感じの危険な匂いのする字で、非常に面白そうなパワーを感じたものです(ちなみに、本人は大変聡明な方です)。やはり同じ内容でも、手書きの方が勢いで持ってけるパワーを持ってるんじゃないかって気がしました。それに、選ぶ側の伊集院さんも以前、手書きで書きなぐったような字のほうが味があって好きだ、というような事を言っていましたしね。やっぱ手書きの方が得な気がします。うん。

てなわけで長々と書いてきましたが、ま、これでメール投稿は実はハガキで出すよりもすごいテクニックと、ハガキで出す人よりも面白いネタが必要な非常に難しいモノなんだよ、ということをちょっとでも感じていただければ幸いです。

もちろん私も、メールを完全否定しているわけでは無いです。ひとつハガキのデメリットとして、番組が月曜なため、届くための投函締切が不明確&ハッピーマンデー法のおかげで締切が早まる週が多いっていうのはちょっと困るところなんですよね。個人的には、番組がもう少し週の後ろの方に移ってもらえれば“ハガキだけで充分!”って言いきれるんだけどなぁ。

(余談)ちなみに、これを書くにあたって、私も「ウソチクの泉」の投稿フォームを使ってみました。あれって、以前に投稿したことがある場合はCookieを有効にしてれば名前が出てくるじゃないですか?私、初めて使うのに、名前の欄に「ジョン・カビラ」って出てきたんですが…。私の家からジョン・カビラが投稿したことがあるのでしょうか?もしくは私はジョン・カビラなのでしょうか?・・・謎です。

※1 「若きあいさつ王・フリートーク366日」コーナーへの投稿。どんなシチュエーションでのあいさつでもフリートークで自由にこなせるようなタレントになるために、リスナーからシチュエーションを募集し、その場面にあわせたあいさつを即興でやる、LF「Oh!デカナイト」のコーナー。 

※2 FAXテーマは「最近けんかしたこと」だったかな?うん。我ながら、昼の番組って感じのほのぼのとした内容ですね。

2004.3.7  NEWラジパラザウルス


●前のページに戻る


inserted by FC2 system