●第1回「伊集院光のラジオは最近つまらなくなったのか?」


伊集院系の掲示板等では「最近の、伊集院のラジオはつまらなくなった」「〇〇の頃は面白かった」みたいな書き込みが定期的に繰り返されており、みなさんも目にした事があるかと思います。「じゃあ、聴かなきゃいいじゃん」と書きこんでしまえば簡単ですし、たしかに、その意見はもっともなのですが、そこでちょっと考えてみる。本当に伊集院光のラジオはつまらなくなったのか?

「最近の放送つまんないよね」的な書きこみがあると、そのあとに賛同する意見なんかも出てきたりして“結構つまらないと思ってる人が多いんだ”という感じをうけます。ただ、そこで興味深いのは「あの頃は面白かったよねぇ」と書く人の指す“あの頃”がみんな区々なんですよね。「QQQのQのQは面白かった」という人もいれば、「選手権が好きだった」「豚麗が一番笑った」と言うのもある。はたまた「Oh!デカの頃が一番良かった」とか「ギャグオペラ歌手時代を知らない奴はかわいそうだ」などと言うのも出てくる。で、よくよく思い出してみると、その人達が“面白かった”と言ってた頃にもやはり「最近の伊集院はつまらなくなった」って言ってた人はいたんですよね。

じゃ、いつの伊集院が面白かったのか。私が考えるに“伊集院光が面白かった時期”は人それぞれに違うものなんじゃないでしょうか。なんだ?この“良いまとめ”みたいな意見は!「ミッ●ーマウスは何匹いるんですか?」っていう質問に対する「皆さんの心の中に一匹だけいます」っていう某娯楽施設の詭弁か?って感じもしますが、まぁまぁ。こうは考えられないでしょうか?

聴く側の好みが多種多様化した今のメディアにおいて万人受けする番組を作るというのは無理です。ラジオは特にターゲットを絞って専門化していく傾向があります。ではそんな中、深夜1時からという時間帯の放送ではどういうところをターゲットとしているのでしょうか?ま、ターゲットの絞り方はいろいろありますが、年齢という事で言えば中高生からまあ20歳くらいまでを狙っているのは皆さん納得いくところでしょう。

すると番組を作る側としては、その辺の人達が育ってきた背景を考え、どのようなものを好むかをリサーチし、そうしたリスナー層に、今最もウケる番組を作ろうといろいろ考えるわけです。ただそうなると反面、そのターゲットから外れた世代の人達にとってみれば、どこが面白いの?と言う事になってしまうわけです。

かくいう私も、ANN時代から(何度か離れたりした時期はあったものの)ずっとリスナーをやってきて、今でも面白いと思って聴いておりますが、“じゃあいつが一番面白かったの?”と言われれば、18歳頃に受験勉強をしながら聴いていた「芳賀ゆい」の頃のANNだと答えます。そして、この芳賀ゆいの頃のテープやCDを聴いても、今の10代のリスナーには今の馬鹿力ほど面白くはないだろうと思います。

「芳賀ゆい」は、アイドルマーケットが混迷し始めてきた時代を背景に、子供の頃におニャン子とかを見て育ち、作られたアイドルに疑問を持ち始めた世代をターゲットとする事でウケた企画です。その為、たとえ当時の放送を今の18歳前後のリスナーに聴かせてみたとしても、グラビアアイドル等の台頭によりアイドル=歌手という概念を持たずに育ち、モ娘。などで“アイドルになるまでの過程”の方をむしろ楽しんでいる世代には同じように楽しめる人は少ないのではないでしょうか?

私の例え話の部分はちょっとわかりにくかったかもしれませんが、要は私の結論は「伊集院光が一番面白かったのは、自分がターゲットの世代だった頃の放送だ」ということです。よって「伊集院光が最近つまらなくなってきた」というのは番組の質の方が落ちたのではなく、リスナーがその番組のターゲットから外れてきた、という事なのではないかと考えます。ま、大人びている人もいれば、精神的に同世代より幼い人もいますから、一概に“18歳頃”とか限定はできませんけど、意外と皆さんにもあてはまるんじゃないでしょうか?皆さんもいつ頃が一番面白かったか、ちょっと考えてみてください。

(余談)まぁ、実際、毎週草野球の話しばっかりみたいになっちゃった頃は正直どうかと思ってましたけどね。私も野球好きですし、伊集院さんの日常トークは絶対必要だと思ってますが、それはどこがターゲットか?と。あと、伊集院さんは上にたって若手をいぢるよりは、下っ端の立場からの負け犬の遠吠えトークの方が面白いと思ってるけどね。個人的に、個人的にね!!

2004.2.29  NEWラジパラザウルス


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